もち米とうるち米を混ぜて潰し、あんこをまぶした和菓子のことですが、その見た目を「牡丹」の花に見立てたことから、この名前が付いています。
また、牡丹は春の花で、春の彼岸のお供え物として「牡丹餅」と名付けられたという説もあります。
その説でいくと、秋の彼岸にそなえるのは「お萩(萩の餅)」ということになります。
つまり「ぼたもち」と「おはぎ」は、季節で名前が違うだけである、ということです。
ちなみに冬だと「北窓」、夏だと「夜舟」という呼びかたもあります。
これは、ぼたもちが普通の餅と比べて、あまり杵で搗かないで出来ることが由来です。
つまり、
「北窓」=「北側だから月が窓に入らない」=「つきがいらず」=「搗き要らず」ということです。
「夜舟」=「夜なので、寝ていて船がいつ到着したか分からない」=「着き知らず」=「搗き知らず」
もうひとつ、「ぼた餅」と「おはぎ」の違いは、中の米の状態の違いである、とする説もあります。
米を形が無くなるまできちんと搗いたものを「ぼたもち」、すこし米の形が残るぐらいでやめておくのが「おはぎ」、という分類です。
そして、きちんと搗くことを「皆殺し」、少し米の形を残すことを「半殺し」といいます。
落語か何かで、あるお婆さんのうちに泊まった旅人が、夜中に包丁を研ぎながら「さて、半殺しにするか、手打ちにするか」とつぶやいているのを聞いて、あわてて逃げ出す、というような話があったと思います。
「おはぎを作ってあげようか、それとも手打ちのうどんを食べさせようか」という話だった、というオチです。
僕が高校の時、「おまえら、半殺し」と言うのが口癖の先生がいましたが、あれも「おはぎ」という意味だった…とは考えられませんね。