ハノイ編、最終回です。
では、どうぞ。
ハノイの空港に唯一の食堂が、日本料理店。
ショーケースには親子丼、カツ丼、焼きそば、ラーメンなどが並び、「味自慢 ラーメン」などというのぼり(もちろん日本語)まで出ている。
動物園巡りですっかり昼食をとるのを忘れていた僕らは、興味津々で店内へ入る。
メニューには日本語が併記してあったが、店員はまったく日本語ができなかった。
外国の「ラーメン」を体験したい、という気もあったが、それよりもやはりご当地ものを食べたいという気持ちが強く、僕らは「フォー(ベトナムの麺)」を注文した。
このメニューで、「フォー・ボー」というのが「牛肉のフォー」で、「フォー・ガー」というのが「鶏肉のフォー」だということを勉強する。
フォーはホテルの朝食で食べただけなので、売り物ははじめてである。
「フォー・ガー」も「フォー・ボー」も、肉の量がすごかった。
牛肉の方は焼き肉みたいなのが器の半分に敷き詰められており、ボリューム満点。
鶏肉の方は、軟骨付きの肉がごろごろしていた。
そしてやはり臭みは無く、どちらも良い味だった。
僕らの他に白人グループが入っていたが、注文しているのはピザやポテト。
日本食は完全になりをひそめていた。
食事を済ませて搭乗口が開くのを待つ。
時間通りに搭乗を始めた、ベトナムエアラインVN843便は、あれ?と思うほど小さかった。
かろうじてジェットエンジンが付いているが、中にはいると最後尾から最前列まで見通せるほどの大きさである。
キャパシティは100人から120人ぐらいだろうか。
数日前にフランスに墜落し、乗客全員が死亡した旅客機と、おそらく同じサイズだ。
初めての小さい飛行機。
僕はかなり動揺していた。
試しに食事用トレーを倒してみる。
安定しない。平衡を保てない。
テレビモニターは、どこにもない。
本気で「非常時の説明」カードを読む。
かなりきつめにベルトを締め、離陸にそなえる。
隣をみると、エイコは寝ていた。
カンボジアへ、向かう。
(続く)
このあと、カンボジアのシェムリアップという地に向かいます。