ホーチミン動物園編、最終回です。
ではどうぞ。
僕ら二人と運転手、それから客引きをしていたお兄ちゃんと、一組の親子を乗せて、動物園周遊トレイン(?)が走る。
先頭は運転手、次に親子、そして僕ら、最後の席にお兄ちゃんが座る。
座席は空いているのに、なぜか前詰めだった。
時速はおよそ4キロ。人が歩くぐらいの速さだ。
烈しいエンジン音と、ガソリン臭がする。そして、振動。悪路である。
明らかに歩いた方がいい。このスピードなのに酔いそうだ。
そして、列車はあろうことか、さっき僕らがぐるっと見て回った動物園エリアをトレースし始めた。
まあ、順路なのだろう。ガマンして乗っていた。
すると、後ろに座っていたお兄ちゃんが僕の肩を叩き、僕の持っていたパンフレットを奪うと、「今はここを通ってますよ」という感じで指を指す。
今さっき歩いてきたので、全部知っているのだが、言ってもしかたがないので彼の紹介につきあう。
しかし彼は、「ライオン」とか、「ブタ」とか、おそらく知っている英語だけ使って紹介している。なんとも適当な感じである。
そして、さっきの列車乗り場へ戻ってきた。まさかこれで終わりかと思ったら、そこを通過し、今度はやっと左へ折れて、遊園地エリアへと向かった。
遊園地エリアにあったのは、半径2mぐらいの小さなメリーゴーランドと、半径3mぐらいのアームで上下する飛行機の乗り物、それからゴーカートのようなもの。
敷地は広かったが、集約すればデパートの屋上で開催できるレベルだ。
やはりお客はほとんどいない。夕方だからなのか。そうは思えなかった。
メリーゴーランドの前で停車し、お兄ちゃんが「ここで降りる?」といった感じで見つめてきたが、「このまま乗って帰る」という意思表示をして、再び広場へ戻った。
「ハノイズー(ハノイ編参照)」以来、こういうものをなかば予想してはいたのだが、ホテルからはるばる歩いてきた分の価値は、なかった。
いや、あったというべきか。
まあ、ジュース代と列車代を入れても、一人185円。こんなものだろう。
(続く)
じつは、こういうところ、だいすきです。